染色体異常をみつけたら Q&A −目次

中間部欠失と両親の染色体分析

質問:

  PDA、VSD、2/3趾皮膚癒合症を伴う生後8ヶ月の女児で染色体分析をして、次の中間部欠失でした。

        46,XX,del(2)(q13q21.3)

  報告書に「欠失は親から遺伝した可能性があるので、ご両親の染色体分析をお勧めいたします」と書いてありましたが、両親の染色体分析をすべきでしょうか。

回答:

  1)両親の染色体分析の必要はないと考えます。中間部欠失の大多数で親は染色体正常で、欠失はde novo(新生)だからです。親が染色体間挿入(interchromosomal insertion)で、子が挿入セグメントの起源になった染色体を親から受け継ぐと中間部欠失になる筈ですが、このような家系は殆どありません。ただし、染色体分析の必要がないことを説明した上で両親が染色体分析を望むのであれば、反対する理由はありません。自分たちが保因者でないことを知って、両親が安心することの利益は大きいと思われます。
  染色体構造異常の児で親の染色体分析の適否は構造異常の種類によって違うので、詳しくは [10c 両親の検査・出生前診断] をご参照ください。
  2)中間部欠失の大多数はde novoなので、次の妊娠で出生前診断を受ける必要はありません。親が性腺のモザイク(gonadal mosaicism)で性腺に中間部欠失を伴う細胞群を持つために二人の子供が同じ中間部欠失を持つことがありますが、稀なので出生前診断をする理由にはなりません。このことを説明した上で母が出生前診断を希望するなら、その意向に従うべきです。

関連項目
   03j  端部欠失と中間部欠失
  10c  両親の検査・出生前診断

梶井 [2006年8月1日]